2017年3月27日月曜日

佐賀嬉野温泉

嬉野温泉を訪ねたのは、かなりの昔。友達が有田の窯元の息子であり、色々とお世話になり、その後、嬉野に泊まった。「肥前風土記」に「東の辺に湯の泉ありて能く、人の病を癒す」と記され、江戸時代には長崎街道の宿場町として栄えたそうだ。ぬめりのあるお湯は、ナトリウムを多く含む重曹泉で、角質化した皮膚をなめらかにし、みずみずしい肌をよみがえらせるという。多分、その時、美味しいと思ったのが、嬉野の温泉(調理水)で煮込む名物料理、「嬉野温泉湯どうふ」だった。嬉野独特の温泉成分により淡雪のように柔らか、なめらかにとろける湯どうふ、真っ白でまろやかな豆乳スープ。その美肌効果が妻にあったかどうか、定かではないが。

2017年3月18日土曜日

萩温泉

萩は武家屋敷や松下村塾、明治に頑張った人の旧宅もあり、落ち着いた雰囲気がある。萩温泉も海岸沿いに点在している旅館が多く、少し街廻りをした後、夕陽を浴びながら小一時間ほどのんびりと露天風呂に入るのもよいものだ。もっとも、後でレンタサイクルがあると聞き、もう少し街中を探索できたかも?

京都嵐山他

京都は北と西に結構温泉が多い。嵐山、鞍馬、大原がそうだ。嵐山では、渡月橋から渡し船に乗って桂川を少し上った。当然秋が良いのであろうが、行ったのは、秋もかなり遅くだったので、結構寒かった。鞍馬、大原は秋の紅葉が杉の木立に少し赤い点描をみせ、のんびりと露天風呂。我が家からは車で一時間弱でもあり、気楽に行ける。もっとも、鞍馬、大原はその料理にはあまり期待が持てないが。

2017年3月11日土曜日

諏訪

温泉でその温かさを味わい、さらに土地の食べ物を食するのは極上の楽しみではあるが、時にその周辺の情景に動かされる場合もある。諏訪の白樺湖はそんな時間であった。檜風呂のほのかな香りとその白桃の湯の柔らかさは、何とも言えない心地を残したが、翌日向かった高原の初夏の趣は温泉以上の心地よさを与えてくれた。なだらかな緑の曲線が目の届く先まで続き、櫛をすいたような薄雲が蒼き空に漂う、緑と蒼と白さが微妙なバランスで目の前にあった。

城之崎

志賀直哉の暗夜行路、城之崎の風情が伝わってくる。変わり映えしないといわれるが、やはり良い。何回行ったであろうか、外湯をめぐり、のんびりと店の散策。もっとも、1人で行くのは辛いものがある。
「城崎では彼は三木屋というのに宿った。俥で見て来た町のいかにも温泉場らしい情緒が彼を楽しませた。高瀬川のような浅い流れが町のまん中を貫ぬいている。その両側に細い千本格子のはまった、二階三階の湯宿が軒を並べ、ながめはむしろ曲輪の趣に近か
った。また温泉場としては珍しく清潔な感じも彼を喜ばした。一の湯というあたりから細い道をはいって行くと、桑木細工、麦藁細工、出石焼き、そういう店々が続いた。ことに麦藁を開いてはった細工物が明るい電燈の下に美しく見えた。宿へ着くと彼はまず湯だった。すぐ前の御所の湯というのに行く。大理石で囲った湯
槽の中は立って彼の乳まであった。強い湯の香に、彼は気分の和らぐのを覚えた」とある。今も変わらぬ情景だ。

三朝温泉

万能薬の温泉ラジウム、三朝温泉の旅。小さな頃の思い出が眼前にはっきりと浮かんだ来る、そんな思いを強くしたのが、三朝温泉だ。小学生までいた横浜の鶴見川の横ではラジウムが湧き出ていて、いくつかの温泉や銭湯のようなものがあった。よくそこで遊びまわった、三朝のラジウム温泉に浸っているときその情景が浮かんだ。大きな浴場でもぐったり、泳いだり、怒られたり、楽しい日々でもあった。多くの文人や天皇までも訪れている。
川波が 雨の裾をば 白くする 三朝の橋を こえてこしかな
与謝野 晶子
三ささ川 きよき流れを われとめて おくのいでゆに 一夜ねにけり
田山 花袋...
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道後温泉

道後温泉、500キロ飛ばして湯船に飛び込む。泊り客が来るには早い。広い湯船にただ1人。思わず、「坊ちゃん」を思い出す。
「温泉は三階の新築で上等は浴衣をかして、流しをつけて八銭で済む。その上に女が天目へ茶を載せて出す。おれはいつでも上等へはいった。すると四十円の月給で毎日上等へはいるのはぜいたくだと言いだした。よけいなお世話だ。まだある。湯壺は花崗石を畳み上げて、十五畳敷きぐらいの広さに仕切ってある。たいていは十三四人つかってるがたまにはだれもいないことがある。深さは立って乳の辺まであるから、運動のために湯の中を泳ぐのはなかなか愉快だ。おれは人のいないのを見すましては十五畳の湯壺を泳ぎ回って喜んでいたぞいてみると、大きな札へ黒々と湯の中で泳ぐべからずとかいてはりつけてある。.....」
温泉地にある共同浴場、好きな銭湯の趣があって、好きだ。道後の本館も地元の人がニコニコと迎えてくれた。

湯河原温泉

今は少なくなったが、40年ほど前は忘年会、歓迎会などには、よく所属するメンバー全員で旅行、温泉などに行ったものだ。熱海にはよく行った。時に近くの湯河原温泉に行ったが、熱海と全く違う趣に温泉の良さを初めて知ったものだ。自然の中に浸りきる、これから温泉好きになったのかもしれない。そのような情景に引き寄せられるのであろうか、夏目漱石、島崎藤村、芥川龍之介など多くの文学者が好む地であった。数10年ぶりに行ってみたいものだ。
https://www.youtube.com/watch?v=faz8gidgO3c
http://channel.panasonic.com での公開日:2015年01月15日 「月刊湯けむり日本温泉の旅」はパナソニックが提供するコミュニティサイト「ナビca­fe」内の特設サイトです。全国の温泉地の観光情報や落語家が案内人となったビデオレ­ポートなどを紹介します。第二十三弾は湯河原温泉!案内役は...

有馬温泉

有馬に始めて行ったのは30年以上前になる。その後、何回行ったのであろうか。金泉の洞穴風呂、ぼこぼことわく温泉の音が響き、温泉お化けがでるといわれる地下風呂では1人は少し無気味。小高い裏山の上にあった露天風呂からの満天の星は疲れを忘れさせてくれた。谷崎潤一郎も長く逗留したとのことで、「猫と庄造と二人のおんな」という飼い猫との交流が描かれている小説の一文にも有馬温泉が少し見える。
「それは二人が人目を忍ぶ仲になり出して間もない時分、ある日滝道の終点で落ち合い、神有電車で有馬に行って、御所の坊の二階座敷で半日ばかり遊んで暮らしたことがあったが、涼しい渓川の音を聞きながら、ビールを飲んでは寝たり起きたりして過ごした、
楽しかった夏の日のことを、二人ともはっきり思い出した。」
御所の坊は日本建築の陰翳の豊かな宿だ。谷崎の好みの温泉宿のような気がする。

小布施

非にと思うモノを見て、その近くにある温泉で寛ぐ、一石二鳥の欲張った旅だが、小布施への旅がそうだった。好きな北斎の絵を見て、温泉に浸かる、何と幸せなことか!善光寺の後とまっすぐに小布施の2回ほどであったが、近くの山田温泉も趣があり、よかった。もっとも、2回目の温泉場所は思い出せないが、歳だ。

高野山

高野山の宿坊で天然温泉に浸かる。滋賀からは4時間近くかかるが、2回ほど行った。夜の精進料理と露天風呂、朝の読経と説法、ちょっと車で行くのがしんどいがまた行きたいもの!ちょっと面白かったのが、湯屋の洗い場が畳敷きであったこと、もっともビニール製の畳ではあったが。司馬遼太郎の「この国のかたち」に「湯聖ゆひじり」という章がある。ここの聖が「入浴に宗教性を加えた」とある。納得!!

山中温泉

山中温泉や山代、粟津、あわら、和倉などこの近くの温泉は1回は行った。特に山中は、数回行っている。山中座と共同風呂の前、こおろぎ橋はゆったりと落ち着いている。松尾芭蕉も逗留した。このとき詠んだ「山中や 菊は手折らじ 湯のにおい」は句中の白眉とされるが、この背景には悲しい運命があったようだ。なお、北陸に行くときは概ね途中の杉津インターで一休み。だが、一度も敦賀湾の絶景を見たことがない。「ゆうひのアトリエ」は敦賀湾の絶景が望める、最高のビューポイントなのだが?いつも曇りだ。まあ、いつかは見られると思っているが。

北海道登別ほか

北海道は何処にでも、温泉があるのが良い。7月初めごろの爽やかな涼しさ、ちょっと外れた奥の温泉の露天風呂から見える満天の星の多さと輝きの強さ。でも、交通の不便さを除けば、やはり冬に行くのが良い。海の幸が美味しい。小林一茶の句がなんとなく合う処でもある。「雪散るや わきて捨てある 湯のけむり」。定山渓や小樽朝里川温泉、函館湯の川温泉、十勝川温泉帯広、登別温泉などだ。印象的だったのが、昭和新山の荒々しさと支笏や洞爺湖の湖の静けさだった。さらにバブル崩壊で荒廃したトマム、この近くの温泉はちょっと不明だ?今は星野リゾートが頑張っているようだが。

大分と阿蘇

九州では温泉にまつわる色々な思い出がある。なぜか福岡に降りる予定が鹿児島空港で降ろされ、温泉から見た鹿児島湾の思いもかけない絶景、別府と湯布院は家族とののんびり車周遊、ここの棚湯の絶景は何度見てもいい。長崎は雲仙で妻にぶつぶつわく文句を盛んに言われた温泉以上の記憶がいまだ残る。阿蘇では赤牛のおいしさを内牧温泉で味わったが、熊本空港の途中で不思議な湧水をタクシーの運ちゃんに教わった。その湧水をつけると肌がすべすべになり、近くにはその湧水を使ったラーメン屋が繁盛していた。味が抜群にいいという。やはり火の国だ。残念なのが、手違いでまだ黒川温泉に行けていないことだ。でもここは湯治が似合う!

南紀白浜

南紀白浜温泉、あの白い砂の映える海岸近くで泊まるのもよいが、少し山側に入ると、内湯の露天の温泉を備えた宿が思いのほかあるものだ。夫婦2人で行くときは、それが良い。家族で行くときは海岸近くだが、2人の場合は、そちらに泊まったものだ。露天風呂から海が紅く燃える光景は中々に良い。ただ、車で行くと少ししんどいのが、難点だが。